いつかは来る別れ、そんな時に絶対やってはいけないことがあります。
そんなの、人生で数回しかないからわからないですよね、そして誰しもが苦労しているんです。
そうならないためにも、知識武装をしておいて予防しておきましょう!
第1章|感情のままに財産を動かす(遺産分割前の勝手な引き出し)
親が亡くなった直後は、深い悲しみと同時に「とにかく何かしなければ」という焦りが生じます。
しかし、遺産分割協議(相続人全員での話し合い)を終える前に財産を動かす行為は、後々大きなトラブルの火種になります。
具体的にやってはいけない行動には、次のようなものがあります。
- 銀行口座から現金を引き出す
- 実家から現金・貴金属・骨董品を持ち出す
- 株式や投資信託を売却する
- 貸金庫の中身を勝手に取り出す
これらは「遺産の持ち去り」や「使い込み」とみなされ、民事的には遺産分割での不利益、場合によっては刑事的にも横領に近い扱いを受けることがあります。
特に銀行は死亡届が出されると口座を凍結するため、勝手な引き出しは「相続手続きの妨害」と判断されかねません。
また、遺産分割協議前に財産を処分すると、相続税の計算にも影響します。
相続税は「相続開始時の時価」で評価されるため、処分や引き出しの証拠を残さないと正しい計算ができず、追徴課税を受ける可能性もあります。

私は過去に、兄弟の一人が「葬儀代に使うから」と言って預金を勝手に引き出し、それが原因で相続協議が1年以上長引いた事例を見ました。
感情と焦りは判断を狂わせます。まずは「動かさない」を鉄則にしてください。
第2章|相続放棄・限定承認の判断を後回しにする
相続は、プラスの財産だけでなく、借金・未払いの税金・連帯保証債務などマイナスの財産も引き継ぐ点が重要です。
もし負債の方が多ければ「相続放棄」、プラスとマイナスを差し引きしてプラスだけを引き継ぐなら「限定承認」という選択肢があります。
しかし、この判断には3カ月の期限があります。
期限は「相続開始を知った日」からカウントされるため、葬儀や初七日の慌ただしさに追われていると、あっという間に過ぎてしまいます。
この3カ月を過ぎると「単純承認」(すべてを相続)とみなされ、借金も全額引き継ぐことになります。
さらに注意すべきは、期限の延長が可能なケースがあることです。
借金の全容が分からない場合、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長申立」をすれば、判断までの時間を延ばせます。
ただし、これも申立期限があるため、放置は厳禁です。
チェックポイントとしては、次のような財産がないかを早期に確認します。
- 金融機関や消費者金融からの借入
- 連帯保証人になっている契約
- 未払い税金や滞納している社会保険料
- クレジットカードの残債

実際にあった事例なのですが、負債があることを知らずに単純承認してしまい、後から数百万円の借金が発覚した方を見たことがあります。
3カ月ルールは「まだ大丈夫」と思っているうちに過ぎます。亡くなった直後こそ情報収集を最優先してください。
第3章|親のスマホをすぐに解約する
現代では、スマホは単なる連絡手段ではなく「デジタル金庫」の役割を果たしています。
親のスマホには次のような重要情報が含まれていることが多いです。
- ネット銀行や証券口座のID・パスワード
- 電子マネーやポイント残高
- 生命保険や年金の契約情報
- 不動産賃貸や管理会社とのやり取り履歴
- 未払い請求や課金サービスの明細
- 交友関係や取引先の連絡先
これらは紙の書類では残っていないケースも多く、スマホを解約すると二度とアクセスできない可能性があります。
特にネット銀行の残高や株式口座は、スマホ認証や二段階認証が必須のため、解約してしまうと口座凍結解除やログインがほぼ不可能になります。
さらに、相続税申告のためには、金融資産の全容を把握する必要があります。
親のスマホの中には、それらを証明するデジタル明細や取引履歴が保存されているため、安易な解約は相続手続き全体を遅らせる原因になります。
スマホ解約を検討する前にやるべきこと
- ログイン情報・暗証番号・バックアップの取得
- メールやLINEなどの履歴確認(保険・金融関連の通知探し)
- クラウドストレージや写真データの保存
- 金融機関・保険会社・役所手続きに必要なアプリ情報の控え

「毎月のスマホ代がもったいないから」と急いで解約した結果、相続に必要な証拠が消えてしまうケースを見ています。
まずは中身を救い出してから、解約は最後に。
第4章|口約束だけで遺産分割を進める
相続において「うちは仲が良いから揉めない」という思い込みほど危険なものはありません。
兄弟姉妹間の相続争いは、むしろ普段仲が良かった家族ほど深刻化するケースがあります。
口約束の危険性
- 言った・言わないの水掛け論になる
- 数年後に新たな相続人(代襲相続人)が登場し、合意が無効になる
- 口約束に基づく財産分与は、税務的な証拠として認められない場合がある
そのため、遺産分割は必ず遺産分割協議書として書面化し、全員の署名・押印を揃える必要があります。
遺産分割協議書は、不動産の名義変更や預金解約などの正式手続きに必須であり、法務局・金融機関から提出を求められます。
また、協議書には財産の具体的内容・分配方法・日付・署名押印を明記し、公証役場での認証を付けるとより安全です。
よくある失敗例
- 「兄に家、妹に現金」という口頭合意後、家の価値が急上昇して不満が爆発
- 相続人の一部が海外在住で署名が遅れ、銀行口座が長期間凍結
- 口頭合意後に認知された子が相続人に加わり、協議やり直し

「仲が良いから書面はいらない」というのは危険な思考です。
私は過去に、親族同士の口約束が原因で絶縁状態になったケースを何件も見ています。
書類1枚で守れる家族関係は多いです。
ちなみに私の父が亡くなった際は、弁護士事務所から手紙が届きました。離婚して父とは離れて暮らしていたため、父方の方に行った姉が弁護士事務所を通じて連絡を取ってくださっていたようです。
無事にトラブルなく相続は終わりました。
第5章|不動産や株式の評価を安易に決める
相続財産の中でも、不動産と有価証券(株式・投資信託など)は評価方法が複雑で、申告時の間違いが多い分野です。
「不動産屋に聞いた価格」や「ネットの査定額」だけで相続税申告をすると危険です。
不動産評価の落とし穴
- 相続税では路線価方式や倍率方式という、国税庁が定めた基準で評価する必要があります。
- 市場価格(実勢価格)と相続税評価額は異なり、売却価格が高くても税務上の評価は低いこともあれば、その逆もあります。
- 家屋や土地に借地権や賃借人がある場合は評価が減額されることもあるため、条件次第で節税効果が変わります。
株式・投資信託の評価の注意点
- 上場株式は相続開始日の終値か、前後3カ月の平均値を使います。
- 投資信託や外国株式は評価額の算定ルールが異なり、誤ると過少申告や追徴課税の原因になります。
- 上場廃止予定や企業合併のタイミングも評価に影響します。
なぜ安易な評価が危険なのか?
評価を低く見積もって申告 → 後から税務署に指摘され、追徴課税+延滞税
評価を高く見積もって申告 → 実際より多く相続税を払ってしまい、払い過ぎても還付には時間がかかる

私は過去に「とりあえず不動産屋の言い値で申告」した結果、税務署の指摘で数百万円の追徴を受けた例を見ています。
必ず相続税に強い税理士に依頼して、路線価や株価評価を正しく計算してください。
第6章|専門家に相談せず独断で申告・手続きする
相続の手続きは、期限・種類・必要書類が複雑に絡み合っています。
銀行口座解約、不動産名義変更、相続税申告…どれも法律や税務の知識がないと見落としが発生します。
独断で進めた場合によくある失敗例
- 相続税の申告期限(10カ月以内)を過ぎてしまい、無申告加算税・延滞税を課される
- 不動産の名義変更を忘れ、固定資産税の請求や売却ができない状態が続く
- 海外資産や仮想通貨など特殊な財産を申告漏れ
- 必要な添付書類や印鑑証明の期限切れで手続きやり直し
専門家に相談するメリット
- 専門家に相談するメリット
- 税理士 → 節税・申告ミス防止・税務調査対策
- 司法書士 → 不動産登記・名義変更の正確な手続き
- 弁護士 → 相続人間の争い解決、遺産分割調停の代理
- 行政書士 → 遺産分割協議書や各種書類作成のサポート
- 保険代理店(保険屋)※私たちのお仕事です! → 死亡保険金の非課税枠活用、未請求保険の発見、納税資金の確保提案
特に不動産が複数ある場合や、相続人が多い場合、専門家を入れることでトラブルの芽を早期に摘むことができます。
費用を惜しんで自己処理 → 数百万円単位の損失や遅延になるケースは珍しくありません。

「相談料が高いから」と避ける人が多いですが、実際には専門家を入れることで税額が下がり、結果的にトータルコストが安くなるケースが多いです。
相続は“一発勝負”です。やり直しは効きません。
いかがでしたでしょうか。
話しづらい内容こそ、先に終わらせておいた方がいいです。
そして、マネーリテラシーの高い家庭、代々資産を継承している家庭ほどこういう問題は早々に済ませています。
ぜひ皆様におかれましても、しっかりとした対策を行ってくださいね!
お困りごとがありましたら公式ラインからご連絡くださいませ!
それでは最後まで読んでいただきましてありがとうございました!